ドミニオンの日々(はてなブログ)

カードゲーム「ドミニオン」について

錬金術・冒険・帝国・夜想曲・ルネサンスの新版について 特に寄付と峠と星図について

 昨年11月に書いたこの記事。

hirotashi-domi.hatenablog.com

 

ドナルドがフォーラムに書いたトピックを訳したものだったんですが、この書き込みが今年7月に加筆されたようで、結果として海辺・繁栄・異郷だけでなく、錬金術・冒険・帝国・夜想曲ルネサンスのカードテキストの変更についてもまとめられていました。

 

 

forum.dominionstrategy.com

 

今後も引き続き、テキストの変更があるたびにドナルドがここに書き足していくのかもしれませんが、とりあえず現時点での「追加された」変更点を以下にまとめてみます。

あまりにも些少な変更と、2019ルールで変更済みのカードについては省略し、表現の統一化やルールそのものの変更などを挙げてみます。

 

 


・財宝カードから"when you play this"(これをプレイしたとき~)が略される。
賢者の石(3ポ)、法貨(2)、埋蔵金(5)、遺物(5)、御守り(5)、大金(8+8d)、偶像(5)、呪われた金貨(4)、ヤギ(2)、幸運のコイン(4)、魔法のランプ(0)、王笏(5)

 

・財宝カードの"worth"は"+(coin)"と表現変更。
賢者の石(3ポ)

 

・"while this is play"→"while you have this in play"

庭師(5)、追跡者(2)

 

・値下げ効果のあるカードから"not less than 0(coin)"を略す
橋の下のトロル(5)、発明家(4)、運河(7)

 

・"on the (カード名) Supply pile"→"on the (カード名) pile"

農家の市場(3)、神殿(4)、ワイルドハント(5)

 

・複数のカードを捨てる時、それらを公開することを強調

華やかな城(7)

 

・サプライでないカードの獲得元を省略

レプラコーン(3)、悪魔の工房(4)、迫害者(5)、呪いの鏡(0)、魔法のランプ(0)、沼の恵み

 

 

御料車(5)の後半

第一版 Directly after resolving an Action, if it's still in play, you may call this, to replay that Action.
第二版 Directly after you finish playing an Action card, if it's still in play, you may call this, to replay that Action.
2021年7月版 After you play an Action card, if it's still in play, you may call this, to replay that Action.

 アクションカードの効果の「解決後」などと表現していた"resolving"や"finish playing"が消え、シンプルな表現となりました。

 

 

・石(4)

第一版 When you gain or trash this, gain a Silver; if it is your Buy phase, put the Silver on your deck, otherwise put it into your hand.
2021年7月版 When you gain or trash this: If it's your Buy phase, gain a Silver onto your deck, otherwise gain a Silver to your hand.

捨て札置き場以外の場所への獲得が強調された結果、銀貨は捨て札置き場を経由せず、直接山札の上または手札に移動することとなりました。

 

 

・ネクロマンサー(4)の前半

第一版 Play a face up, non-Duration Action card from the trash, leaving it there and turning it face down for the turn.
2021年7月版 Choose a face up, non-Duration Action card in the trash. Turn it face down for the turn, and play it, leaving it there.

playとleaving it thereが近いため、「カードを動かさずにプレイする」ことがわかりやすくなりました。

 

 

・山砦(8)

第一版 The first time you play an Action card during each of your turns, play it again afterward.
2021年7月版 The first time you play an Action card during each of your turns, play it twice instead.

afterward(その後)というのが直後のことなのか、がわかりにくかったからでしょうか。「1度でなく2度プレイする」と表現が変わりました。

 

 

・技術革新(6)

第一版 The first time you gain an Action card in each of your turns, you may set it aside. If you do, play it
2021年7月版 The first time you gain an Action card during each of your turns, you may play it.

・技術革新のFAQに以下を追記

"Innovation can't play a card unless it can physically put it into play."

(技術革新は、カードを物理的に場に出せない限りプレイできない)

 

以前の版ではカードを脇に置くことがプレイすることの条件でしたが、これが撤廃されました。しかし新たに「物理的に場に出せなければプレイできない」という条件がFAQに追加されたため、やはり望楼(3)で別の場所に移動させたアクションカードはプレイできないままです。

 

 

・探査(4)

第一版 At the end of your Buy phase, if you didn't buy any cards, +1 Coffers and +1 Villager
2021年7月版 At the end of your Buy phase, if you didn't buy any cards during it, +1 Coffers and +1 Villager.

この"it"は"your Buy phase"のことでしょうから、つまり購入フェイズ以外でカードを買っていてもよい、ということになりました。闇市場(3)で購入しても問題ありません。

 

 

 ・タイミング変更(after that turn → at end of turn)

寄付(8d)、峠

 

寄付によるカードの廃棄と、峠による「競り」はターンの終了後から終了時に変更されました。つまりゲームの終了判定よりも前であるため、属州枯れや3山枯れが起こったターンでも廃棄や競りを行うこととなりました。

以前に書いた下記の記事で言うところの、5から1に変更されたということになります。

参考:

hirotashi-domi.hatenablog.com

 

 

特に寄付は、以下のようなカードがデッキにあるなら、余ったbuyで必ず買うべきでしょう。

 

最終ターンの終了時、寄付で廃棄すべきものの例:

 

・呪いすべて

・山賊の砦があるゲームでの、金貨と銀貨

・壁があるゲームでの、デッキ枚数15枚を超える余計なカードすべて

・狼の巣があるゲームでの、1枚しか持っていないカード

・墓地があるゲームでの、余計なカードすべて

・狩場(6)(+3点)

・地下墓所(5)(屋敷などを獲得する)

・封土(4)(廃棄した方が得になる分だけ)

 

一方峠では、属州を獲得した左隣のプレイヤーから順に宣言するため、最終ターンの終了時にこの競りが始まった場合、その左隣のプレイヤーが最大値である「40」を宣言すればそれで競りは終わり、8点を獲得してゲームが終わってしまいます。属州を買って6点増やして勝ったと思ったら、すぐに8点取られて再逆転されるという結果が待っています。

 

さらにこの寄付と峠に関して言えば、このターンが支配(6ポ)による追加ターン中だった場合、ターン終了時はまだ支配者が行動の決定権を持っているのだということになると思われます。もしそうであれば、何が起こるでしょうか。

 

支配ターン中:

【アクションフェイズ開始】

金貸し(4)で銅貨を廃棄した(銅貨は脇に置かれる)

【アクションフェイズ終了】

 ↓

【購入フェイズ開始】

寄付購入

【購入フェイズ終了】

 ↓

【クリンナップフェイズ開始】

手札と場のカードをすべて捨て、山札を5枚引く

【クリンナップフェイズ終了】

 ↓

【「ターン終了時効果」開始】

脇に置かれた銅貨を捨て札置き場に戻す

寄付の効果で、支配者の意思ですべてのカードを廃棄した(すべて脇に置かれる)

寄付の効果で、手札をシャッフルして山札を作り、そこから5枚を引こうとするが、その対象となるカードが0枚であるため失敗する

【「ターン終了時効果」終了】

 ↓

 【「そのターン」効果終了】(「支配」の終わり)

 

 ↓

 

通常のターン開始。

このとき手札・山札・捨て札すべて0枚。

【アクションフェイズ開始】

何もしなかった。

【アクションフェイズ終了】

 ↓

【購入フェイズ開始】

何もしなかった。

【購入フェイズ終了】

 ↓

【クリンナップフェイズ開始】

手札5枚を引こうとするが、このとき手札・山札・捨て札すべて0枚のため、失敗する。

【クリンナップフェイズ終了】

 ↓

【「ターン終了時効果」開始】

脇に置かれたカードがすべて捨て札置き場に置かれる。

【「ターン終了時効果」終了】

 

「脇に置かれた銅貨が戻る」と「寄付の処理」は同時に行われるわけですが、ターン者(つまり支配者)の意思によってどちらを先に行うか決めることができます。もし「寄付の処理」を先に行えば、その中で脇に置かれたカードは銅貨とともにデッキに戻るわけですが、寄付を後にした場合、なんと被支配者は以降2ターンに渡って「0枚手札」を強いられます。支配+寄付は事実上最大のアタックになると言えるでしょう。

※一応、上の銅貨のように何かを廃棄せずとも、「脇に置いた0枚のカードを戻す、を先にやります」と忘れずに宣言すれば同じことは可能です。忘れた場合は、さすがにダメなんじゃないですかね。

 

 

一方、支配ターン中の峠は、被支配者の宣言も支配者が決定できるため、ひどいことになります。

以下2人戦。AがBを支配しているとする。

 

支配ターン中、属州を購入(代わりに支配者Aが獲得)

 ↓

峠での競り開始。宣言の順序はB→A。

 ↓

Bの宣言をAが決める。ここで「パス」を宣言。

 ↓

Aの宣言は「1」。Aが落札し、1負債と8VPを得る。

 

 

星図のFAQに以下を追記

"You can also look at any cards about to be drawn, that aren't being shuffled, while deciding."

(カードを決めるとき、シャッフルされない、ドローされようとしているカードを見てもよい)

 

いわゆるシャッフルのタイミング変更の影響は星図があるときしかない、としてきたわけですが、「星図でも見てよい」と変更されました。いよいよシャッフルのタイミングを変更した意味がなくなってきましたね。

 

参考:

hirotashi-domi.hatenablog.com