ドミニオンの日々(はてなブログ)

カードゲーム「ドミニオン」について

2022年の大型エラッタ その2 持続カードの移動不可・命令化・購入フェイズの終了 など

前回の続きです。

 

 

持続カードの移動不可

 

 

納骨堂(5)の前半

初版

Set aside any number of Treasures you have in play,

2022年エラッタ Set aside any number of non-Duration Treasures you have in play,

 

偽造通貨(5)の後半

初版

When you play this, you may play a Treasure from your hand twice. If you do, trash that Treasure.

2022年エラッタ You may play a non-Duration Treasure from your hand twice. If you do, trash that Treasure.

 

納骨堂と偽造通貨はいずれも、プレイされた財宝カードを場から移動させる効果を持っているわけですが、その対象に「持続でない」という条件が付きました。

かつて行進(4)が持続カードを対象にできなくなったのと同じく、とにかく持続カードは場から移動させたくないようです。

 

 

焚火(3)

初版

Trash up to 2 cards you have in play.

2022年エラッタ Trash up to 2 Coppers you have in play.

 

同じく場のカードを廃棄置き場に移動させる効果を持つ焚火は、なんと持続かどうかではなく、廃棄対象を銅貨だけにするという変更(!)。

じゃあ初手で不要な共同墓地(1)を廃棄することも、不要になったポーションや礼拝堂(2)を廃棄することもできなくなったわけですか。そんな。

 

 

 

命令化

 

 

王子(8)の前半とカードタイプ

2019年エラッタ

You may set aside (on this) a non-Duration Action card from your hand costing up to $4.


Action - Duration

2022年エラッタ

You may set aside (on this) a non-Duration non-Command Action card from your hand costing up to $4.


Action - Duration - Command 

そもそも2019年のエラッタ自体もそれほど有名でなく、オンラインでプレイしていると「王子がいつのまにかオレンジになってる!」と驚いたものですが。

今回はさらにその対象となるカードに「命令でない」という条件が付き、さらに王子自身も「命令」というタイプを持つことで、「命令で命令をプレイする」ことによる無限ループを回避できるようになりました。

 

相続(7)

2019年エラッタ

(2回目)

Once per game: Set aside a non-Command Action card from the Supply costing up to $4. Move your Estate token to it.
(During your turns, Estates are also Actions with “Play the card with your Estate token, leaving it there.”)

2022年エラッタ Once per game: Set aside a non-Command Action card from the Supply costing up to $4. Move your Estate token to it.
(During your turns, Estates are also Command Actions with “Play the card with your Estate token, leaving it there.”)

※相続は2019年の2回のエラッタの両方でテキスト変更が発表されました

 

相続により、屋敷もまた「命令」タイプを持つこととなりました。

 

 

というわけで、「他のアクションカードをそこから動かさずにプレイする」という効果を持つ、はみだし者(5)、大君主(8d)、Captain(6)とともに、これらも「命令」化され、これによって他の命令カードをプレイすることはできなくなりました。

ただ、まだネクロマンサー(4)と、ハツカネズミの習性が残っているんですが。

 

 

 

その他のテキスト変更

 

 

語り部(5)

2016年版

+1 Action
+$1
Play up to 3 Treasures from your hand. Then pay all of your $ (including the $1 from this) and draw a card per $1 you paid.

2022年エラッタ +1 Action
Play up to 3 Treasures from your hand. Then +1 Card, and pay all of your $ and draw a card per $1 you paid.

もともと、語り部で最初に得る+1金はその後すぐに+1ドローに変換されて失われるものだったので、ならば最初からそれを書かず、+1ドローを独立して書いた方がわかりやすいな、ということになったようです。

実際に効果が変わるのは、カメレオンの習性でプレイしたときくらいでしょうか。

 

薬草商(2)

2018年版

+1 Buy
+$1

---

When you discard this from play, you may put one of your Treasures from play onto your deck.

2022年エラッタ

+1 Buy
+$1

Once this turn, when you discard a Treasure from play, you may put it onto your deck.

以前までの処理は「薬草商を捨てる時に、場にある財宝カード1枚を山札の上に戻す」だったのが、「1回だけ、場にある財宝カード1枚を捨てる時に、それを山札の上に戻す」に変更となり、横線もなくなりました。

これによる差異としては、以下のようなものが考えられます。

  • 玉座の間(4)で薬草商を2回使うと、財宝カード2枚を戻せるようになった。
  • 資本主義(5)を購入後、薬草商を捨てる時、その薬草商自身を戻せるようになった。
  • 持続する財宝カードを戻せなくなった。
  • 「薬草商で場の元手を捨てずに山札の上に戻すことで負債を負わない」というコンボが成立しなくなった。

 

 

錬金術師(3)

2018年版

+2 Cards
+1 Action

---
When you discard this from play, if you have a Potion in play, you may put this onto your deck.

2022年エラッタ +2 Cards
+1 Action
At the start of Clean-up this turn, if you have a Potion in play, you may put this onto your deck.

山の上に戻すタイミングが、「これを場から捨てる時」から「クリンナップフェイズの開始時」に変更。

これで、錬金術師・薬草商・ポーションの3枚をプレイしたときの、例の「錬金術師とポーションを山札の上に戻すときの手順」で悩む必要もなくなりました。

 

 

 

寄付(8d)

2021年エラッタ

At end of turn, put all cards from your deck and discard pile into your hand, trash any number, shuffle your hand into your deck, then draw 5 cards.

2022年エラッタ Right before drawing your next hand, put your deck and discard pile into your hand, trash any number of cards from it, then shuffle your hand into your deck.

寄付の処理のタイミング、昨年「ターンとターンの間」から「ターン終了時」に変わった(参照:錬金術・冒険・帝国・夜想曲・ルネサンスの新版について 特に寄付と峠と星図について)ため、例えば壁があるゲームなら最終ターンに買って勝利点以外のカードすべてを廃棄する、というプレイが可能となっていたわけですが、今回はさらにそこから「(クリンナップフェイズの)次の手札を引く前」へと変更されました。

処理の最後の「手札を5枚引く」という記載もなくなったため、前哨地(5)ターンに向けて寄付を買っても手札は3枚のまま、ということに。

 

 

※追記:その後、7/14に再エラッタされ、以下のように変更になりました。

2022年再エラッタ

At the start of your next turn, first, put your deck and discard pile into your hand, trash any number of cards from it, then shuffle the rest into your deck and draw 5 cards.

さらにタイミングが変更され、次のターンの開始時の、他の「次のターンの開始時より先に」行うようになりました。また「5枚引く」も復活です。

つまり、壁などがあるゲームでの最終ターンに買って・・というプレイはこれで不可に(ただし艦隊(5)なら可)なり、また前哨地での追加ターンの手札を5枚にすることは可に戻りました。

 

 

2021年エラッタ

When you are the first player to gain a Province, at end of turn, each player bids once, up to 40D, ending with you. High bidder gets +8VP and takes the D they bid.

2022年エラッタ When you are the first player to gain a Province, each player bids once, up to 40D, ending with you. High bidder gets +8VP and takes the D they bid.

こちらも寄付と同じく、そのタイミングが「ターンとターンの間」から「ターン終了時」に変わり、さらに今回で「そのゲーム最初の属州獲得時」に変更されました。それがアクションフェイズでも購入フェイズでも、とにかく即座に競りが始まります。

 

寄付も峠も、結局はターン中ではあるので、支配(6ポ)の影響を受けることは変わりません。寄付による廃棄するカードの選択も、峠による提示額の宣言も、被支配者は何もできず、支配者が決めることに。

 

 

技術革新(6)

2021年版

The first time you gain an Action card during each of your turns, you may play it.

2022年エラッタ Once during each of your turn, when you gain an Action card, you may play it.

プレイできるアクションカードから「あなたのターンの最初に獲得した」という制限がなくなりました。

 

 

購入フェイズの終了

 

購入フェイズ中にヴィラ(4)や騎兵隊(4)を獲得し、アクションフェイズに戻るとき、購入フェイズが終了するようになった、とのことです。購入フェイズ終了時に行うことと言えば・・・

  • 宝物庫(5)を山札の上に戻す
  • (財源のルール変更後の)商人ギルド(5)で財源を得る
  • 酒場マット上のワイン商(5)を捨て札にする

などが存在するため、これをアクションフェイズに戻る前に行うこととなりました。

 

 

で、さっそくこれによる無限金プレイが発見されました。

 

宝物庫を5枚以上プレイしてデッキを引ききり、手札に騎兵隊がある状態でアクションフェイズを終え、騎兵隊を買って宝物庫5枚を山札の上に戻す→騎兵隊を馬の習性としてプレイし、再び宝物庫を5枚をプレイして買った騎兵隊を手札に引く→騎兵隊を買う、を繰り返せば、1周期につき5金増えて4金減り、購入は1増えて1減り、サプライの騎兵隊は1枚増えて1枚減るため、つまり1金増える以外は何も状況は変わりません。好きなだけ繰り返せばいくらでも金量を出すことができ、さらにもし移動遊園地(2)があれば、購入も好きなだけ増やして無限金無限購入です。

 

 

 

さて、毎回エラッタが発表される度に書いている気がしますが。

こうしたルール変更に対して我々プレイヤーは、特に日本語版で遊んでいる国内のプレイヤーは、どうしたらいいんでしょうか。

 

日本語版はもちろん、紙のカードで遊んでいる多くのプレイヤーはまだこのテキスト変更がされていないカードしか持っていないわけですが、それで遊ぶ際にも、そこに書かれた文面は無視して、この新ルールを適用すべきなんでしょうか。

 

オンラインならそりゃすぐに反映できるもんなんでしょうが、では我々はどうしたらいいんでしょうか。いちいち「今日は2021年までのルールで・・・」とかなんとか断ってから遊ばないといけないんでしょうか。