噂には聞いていた、ドナルドによるドミニオンの大き目のルール改定が本日の朝(日本時間)に発表となりました。
これまでドミニオンでは、問題が生じてはエラッタやルール変更によって対応する、ということを何度か繰り返してきました。それでも残ったままのいくつかの諸問題についてこの度まとめて直してしまおうという意向のようです。
内容についてざっと触れてみます。
1. 8種のカードについてエラッタ
以下のカード(イベント・Artifact含む)について、カードテキストを変更するとのことです。
まずは4枚。
はみだし者(5)
サプライにあるこのカードよりもコストが少ないアクションカード1枚をサプライに置いたままプレイする。
Play an Action card from the Supply that costs less than this, leaving it there.
旧テキスト:
サプライにあるこのカードよりもコストが少ないアクションカード1枚をあなたが選び、そのカードとしてこのカードをプレイする。このカードはプレイエリアを離れるまで選んだカードとして扱う。
Play this as if it were a cheaper Action card in the Supply. This is that card until it leaves play.
大君主(8d)
サプライにあるコスト最大5コインまでのアクションカード1枚をサプライに置いたままプレイする。
Play an Action card from the Supply costing up to $5, leaving it there.
旧テキスト:
サプライにあるコスト最大5コインまでのアクションカード1枚をあなたが選び、そのカードとしてこのカードを使用する。このカードはプレイエリアを離れるまで選んだカードとして扱う。
Play this as if it were an Action card in the Supply costing up to $5. This is that card until it leaves play.
相続(7)
ゲーム中に1度だけ、サプライからコスト4コイン以下の勝利点でないアクションカード1枚を脇に置く。あなたの屋敷トークンを、そのカードへ移動する(あなたのターン中、屋敷はアクションであり、「あなたの屋敷トークンが乗ったアクションカードを、そこに置いたままプレイする」効果を持つ)。
Once per game: Set aside a non-Victory Action card from the Supply costing up to $4. Move your Estate token to it. (During your turns, Estates are also Actions with "Play the card with your Estate token, leaving it there.")
旧テキスト:
ゲーム中に1度だけ:サプライからコスト4コイン以下の勝利点でないアクションカード1枚を脇に置く。あなたの屋敷トークンを、そのカードへ移動する(あなたの屋敷は、その脇に置いたカードの能力と種類を得る)。
Once per game: Set aside a non-Victory Action card from the Supply costing up to $4 . Move your Estate token to it.
(Your Estates gain the abilities and types of that card.)
Lantern
あなたがプレイしたBorder Guardは、3枚を公開して2枚を捨てる。
(この3枚がすべてアクションカードであれば、Hornを得る。)
Border Guards you play reveal 3 cards and discard 2. (It takes all 3 being Actions to take the Horn.)
旧テキスト:
あなたのBorder Guardは3枚を公開して2枚を捨てる。
(この3枚がすべてアクションカードであれば、Hornを得る。)
Your Border Guards reveal 3 cards and discard 2. (It takes all 3 being Actions to take the Horn.)
これまでのはみだし者・大君主は、場にある間は指定したカードであると扱うというものでした。目には「はみだし者」というカード名が見えているにも関わらずそれは別のカードが出ていると見なす、ややわかりにくい扱いでしたが、今回の改定により扱いはなくなり、あくまでカードはそこにあるものとし、他のカードをプレイするという処理により事実上ほぼ同じ効果を生むことになりました。
実際、この処理を行うカードとしては既にネクロマンサー(4)が登場しています。他のカードになりすますのではなく、他の場所にあるカードを、その場所から動かさずに「プレイ」していいんだということに気付いたのでしょう。これによりややこしい処理はなくなり、あくまで「他のアクションカードをプレイするアクションカード」(ゴーレム(4ポ)や伝令官(4)と同様)という扱いとなりました。
同時に、相続もまた屋敷を「他のアクションカードをプレイするアクションカード」とするだけの、(以前に比べれば)シンプルな効果となりました。その屋敷が誰のものかは問われなくなったため、これにより「あなたの屋敷」問題も解決します。
この変更によって生じる差としては、以下のようなものが考えられます。
- はみだし者を2枚プレイし、それぞれで別のカードを指定したとき、「場に出ているカードの種類」の数える際、旧ルールでは別のカードと扱い、新ルールでは同じと扱う。これはこの後に豊穣の角笛(5)や魔法のランプ(0)をプレイしたときに影響する。
- 玉座の間+はみだし者とプレイしたとき、旧ルールでは、一度目のはみだし者のプレイで抑留や島とするなどして場からはみだし者が移動しない限り、二度目のプレイで一度目の同じカードと扱われたが、新ルールでは別のカードを指定することができる。
続いて3枚を。
死の荷車(4)
このカードか、手札からアクションカード1枚を廃棄し、5コインを得てもよい。
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このカードを獲得したとき、廃墟を2枚獲得する。You may trash this or an Action card from your hand, for +$5.
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When you gain this, gain 2 Ruins.
旧テキスト:
+5コイン
あなたの手札からアクションカード1枚を廃棄してもよい。そうしない場合、このカードを廃棄する。
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あなたはこのカードを獲得したとき、廃墟2枚を獲得する。+$5
You may trash an Action card from your hand. If you don't, trash this.
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When you gain this, gain 2 Ruins.
略奪(5)
このカードを廃棄する。そうした場合、略奪品2枚を獲得し、手札が5枚以上の他のプレイヤーは全員自分の手札を公開し、その中からあなたが選んだカード1枚を捨て札にする。
Trash this. If you did, gain 2 Spoils, and each other player with 5 or more cards in hand reveals their hand and discards a card that you choose.
旧テキスト:
このカードを廃棄する。手札が5枚以上の他のプレイヤーは全員自分の手札を公開し、その中からあなたが選んだカード1枚を捨て札にする。略奪品の山札から略奪品2枚を獲得する。
Trash this. Each other player with 5 or more cards in hand reveals their hand and discards a card that you choose. Gain 2 Spoils from the Spoils pile.
抑留(2)
+2コイン
このカードを廃棄する。そうした場合、サプライのいずれかの山札1つの上に、抑留トークン1枚を配置する。
+$2
Trash this. If you did, add an Embargo token to a Supply pile. (For the rest of the game, when a player buys a card from that pile, they gain a Curse.)
旧テキスト:
+2コイン
このカードを廃棄する。サプライのいずれかの山札1つの上に、抑留トークン1枚を配置する。
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プレイヤーはカードを購入するとき、その山札に置いてある抑留トークン1枚につき、呪いカード1枚を獲得する。+$2
Trash this. Add an Embargo token to a Supply pile. (For the rest of the game, when a player buys a card from that pile, they gain a Curse.)
(注:後のドナルドの書き込みにより、抑留のテキストは「廃棄した場合のみ+2コイン」であるよう変更される模様です。)
いずれも、廃棄することが条件に加わりました。つまり玉座の間+死の荷車としたとき、これまでは死の荷車自身を廃棄するだけで10金出ましたが、新ルールでは廃棄しない限り出なくなりました。
しかしこうなると、玉座の間+ワイン商(5)で酒場マットへの移動が1回でも8金出るとか、玉座の間+Acting Troupe(3)で8Villagerを得られるというのもついでに改定した方がいいような気がしますが、なぜでしょうか。忘れられてるんでしょうか。
そして最後の1枚はこちら。
行進(4)
あなたの手札の、持続でないアクションカード1枚を2度使用してもよい。そのカードを廃棄する。そのカードよりコストがちょうど1コイン多いアクションカード1枚を獲得する。
You may play a non-Duration Action card from your hand twice. Trash it. Gain an Action card costing exactly $1 more than it.
旧テキスト:
あなたの手札のアクションカード1枚を2度使用してもよい。そのカードを廃棄する。そのカードよりコストがちょうど1コイン多いアクションカード1枚を獲得する。
You may play an action card from your hand twice.Trash it. Gain an Action card costing exactly $1 more than it.
弱体化!
2.他のカードをプレイするカードの追跡
上のはみだし者のような「他のカードをプレイするカード」はいつまで場に残るか、の定義がされました。
- はみだし者をプレイし、その効果でサプライの持続カードをプレイした場合:その持続カードに何らかの効果があるターンのクリーンナップフェイズまで場に残る
- はみだし者をプレイし、その効果でサプライの玉座の間をプレイし、その効果で手札の持続カードをプレイした場合:その持続カードが場から離れたターンのクリーンナップフェイズまで場に残る
- 玉座の間をプレイし、その効果で手札からはみだし者をプレイし、その効果でサプライから複数の持続カードをプレイした場合:それらの持続カードのうち何らかの効果がある最後のターンのクリーンナップフェイズまで場に残る
これらのルールは「場に出さずにカードをプレイする」効果を持つカードに対し適用される。現状では、はみだし者、大君主、相続、ネクロマンサー、Captainの5種。
3、新たなlose-trackルール、"stop-moving"ルール
実際には本当に所在を見失ったわけでもないのに、上にカードが覆いかぶさっただけで「見失った」(lose-track)と扱われてしまう、lose-trackルールが改定されました。その名も"stop-moving"ルール。
これまでとの差は、移動させようとしているカードが捨て札置き場の中にあるとき、それが一番上になくとも移動できるという点です。これを探すために捨て札すべてを見てもよく、見失うことはありません。
これまで、Replace(5)で屋敷を暗躍者(4)に変えたとき、変えた暗躍者を山札の上に置こうとしても、その上に金貨が被さるために見失い、失敗していました。新ルールでは捨て札置き場から暗躍者を探すことができ、ついでに捨て札すべてを見ることも可能です。
4.カードを「名指しで」獲得する時、たとえそれがサプライにないカードであっても「その山から」獲得する。
例えば上の略奪のテキストを見るとわかりますが、略奪品(0*)を獲得するときに「略奪品の山から~」と獲得元の場所を明記がなくなりました。
これまでこのゲームでは、カードを獲得する時にその獲得元が省略されているときは「サプライから」と読み替えていましたが、今回の改定により、とにかく書いていなければ「その山から」と読み替えることで、サプライでないカードにおいても「その山から」の記載を省略できることになります。
しかしこれはあくまでカードが「名指し」されているときのみ。略奪で獲得すると書いてある略奪品はもちろん略奪品の山からですが、道化師で略奪品が公開されても、道化師のテキストに略奪品が名指しされていないため、従来のルールと同じく略奪品を獲得することはできません。
5.コストは0コインを下回らない
重箱の隅をつつくような話ですが。
コストが「2コインと1ポーション」である大学に対し、橋(4)を1回プレイすれば「1コインと1ポーション」に、2回プレイすれば「0コインと1ポーション」になりますが、では3回プレイしたら「-1コインと1ポーション」になるのか?という問題がありました。
もちろん橋のテキストにも「ただし0コイン未満にはならない」とあるのですが、しかし戦車競走(3)でのコスト比較の際にも生じた問題として、ポーションや負債をコストに含むカードとの比較では、それらの要素すべてが他方以上であるときに「以上」とするという裁定だったはずです。「8コイン8負債」の大金と「9コイン」の白金貨を比べる時、どちらも他方よりコストが高くなく、低くもないという扱いになります。ならば「-1コインと1ポーション」は「0コイン」より低くないはずなので、橋の条件には引っかからないんじゃないか?という屁理屈ですね。今回このあたりが整理されました。
さて、これらのルール改定、ステドミの方には反映されるようですが、紙のカードで実際にプレイする環境においてはどうしたらいいのでしょうか。テキストを変更した新たな版が発売になるのならまだいいのですが、それまで我々ははみだし者をプレイしたとき、どちらのルールを正とするべきか。あらかじめプレイする相手と決めておく必要があるようです。