ドミニオンの日々(はてなブログ)

カードゲーム「ドミニオン」について

新拡張 Renaissanceが発表に

昨年に続き、今年もGenConの時期に合わせ、ドミニオンの新拡張が発表となったようです。
今年は"Renaissance"。

Dominion: Renaissance on RGG's website
http://riograndegames.com/Game/1334-Dominion-Renaissance

This is the 12th expansion to Dominion. It has 300 cards, with 25 new Kingdom cards. There are tokens that let you save coins and actions for later, Projects that grant abilities, and Artifacts to fight over.

25種の王国カードを含むカード300枚に、コインやアクションを後送りできるトークン。まではわかるんですが、効果を加える"Projects"と、奪い合う"Artifacts"とは。後者はなんとなく、一人しか獲得できない特殊勝利点のようなものかなと思うんですが。

そしてDominion Strategy Forumではドナルドがこんな発言を。

http://forum.dominionstrategy.com/index.php?topic=18876.msg763782#msg763782
We're expecting it to be out in early October; previews probably the last week of September.

10月には発売され、9月の最終週にプレビュー?

坑道-偵察隊

先日Stefドミで遊んでいたときに偶然見つけたんですが。


サプライに坑道(3)があるとき、それを捨てる手段も同時に探しますが、手札を捨てられない偵察隊(2)はそれほど相性がいいとは言えないと思っていました。しかし3-4スタート(4-3でなく)なら。
以下手順です。

  • 初手3-4を、坑道-偵察隊×2と買う。もちろん捨てるカードは坑道を最優先し、それ以外なら屋敷や銅貨など価値の低いカードを優先して捨てる。
  • 以降、手札にある金量はすべて偵察隊のために使い、デッキから坑道を探して捨てる。
  • 手札に坑道があるときでも偵察隊を買ってよい。次のターンの手札を良くするため。ただしリシャッフルが入るようなら控える。
  • デッキに十分に金貨が入ったと判断したところで、8金で属州を買う。もちろん10金なら偵察隊と属州を。12金なら偵察隊を2回買う。

この方法で、属州4枚まで11.0Tと出ました。

特に強いのは第2ターンで坑道を2回捨てられたとき(確率5/12)。金貨が2枚入ることだけでなく、次のターンの手札に坑道が入りづらく、かつ金貨が最低1枚は入るため、第3ターンでも偵察隊を2-3回買えることでさらに金貨が入りやすくなります。


なお2枚目の坑道を入れた方がいいかどうかについてはよくわかりませんでした。入れてもいい、くらいでしょうか。

ドミニオン日本選手権2018に参加してきました その2

さて2年ぶりの本戦出場。
その日早めに渋谷に着くと強い雨。傘を買うとすぐに上がる。あまり運は味方していないような気がする一日が始まりました。
以下今更のレポです。


1回戦

地下貯蔵庫(2) 大広間(3) 鍛冶屋(4) 金貸し(4) 役人(4)
鉄工所(4) 偵察員(4) 祝祭(5) 公爵(5) 改良(5)

1番手を引いたのでコンボしたくない。コンボは構築に失敗したら4位になる可能性があるからだ。というわけで公領公爵に向かうが、初手はなんだろうか。
大広間もあり、銀貨を取りつつ1金出せる鉄工所が強いことは確かなのだけど、緑いっぱいになるゲームなら役人が刺さるのでは?と思い、初手役人-銀貨とした。2番手も同じ。
役人がどれくらい「刺さった」のか、役人のところを鉄工所としていたらどうなったのかわからないが、やや銀貨が足りないかなーという思いを受けながら公領先行するも、4番手が改良を入れて完全にデッキを作りに行く。偵察員で引いた大広間から祝祭鍛冶屋のコンボは見ていて楽しそう。結果まくられて2位。

2回戦

薬草商(2) 大学(2ポ) 薬師(2ポ) 望楼(3) 借金(3)
弟子(5) 大市場(6) ならず者(6) 鍛造(7) 拡張(7)

2番手。サプライを見て考えることは、
・薬師打って7金出したい。鍛造で銅貨をまるごと圧縮したい。できることなら屋敷3枚を(2回に分けてもいいから)鍛造で大市場にしたい。
・大学望楼もいい。大学で取った弟子を山札に乗せてそれを望楼で引き、即打ち。
・いずれにせよならず者+望楼は見たい。ならず者は打つにせよ打たれるにせよ。
というわけで望楼-ポーション。前後の違いはあれど全員初手は同じ。しかし第3ターンに薬師を買いつつ山札の上に乗せ、第4ターンにそれを打って6金を出した(ならず者購入)したのは自分ひとり。勝ったと思った。
しかし次の2金ポーションを大学にしたあたりから怪しくなる。大学で弟子を取るのはいいが、取ってもそれが屋敷や他の弟子と出会ってくれない。ならず者を打たれたときに望楼はあっても大学がない、あるいは大学はあっても望楼はないという状況が続く。
さすがにならず者のハンデス対策を大学望楼に頼るのは虫が良すぎた。薬師連打の方が手札枚数は回復できるし、あるいは薬師連打で「デッキを見る」方が大学や望楼など欲しいカードを引いてこれるというものだ。気づけば上家に薬師を独占され、どうにも回らない状況に。
他の二人はなんとなくこちらに合わせたようなプレイという印象で、大学で弟子を獲得しているうちに弟子と薬師が枯れ、望楼も残り数枚に。まだ何もしていないうちに終了が見えだし、そこから公領を買える人と買えない人とで命運が分かれる。僕買えない人。
最後はどうしようもなくなって、たっぷり時間を使って3位確定と分かったうえでの3山枯らして終了。

3回戦

岐路(2) 公爵夫人(2) 占い師(3) 画策(3) 馬上槍試合(4)
香辛料商人(4) 狩猟団(5) 豊穣の角笛(5) 埋蔵金(5) 地図職人(5)

いつも大会では率先して手番決めの準備をするため「属州・公領・屋敷・呪い」のセットから他の3人に選んでもらい、自分は残り物を引くという形。しかしこの対戦だけは同卓者の一人が「今日それでずっと4番手なんで自分にやらせてください」と。そんなわけで準備してもらい久しぶりに自分で選ぶ形にしたところ2番手に。なおそのずっと4番手の人はこのゲームでも4番手になった。
さて馬上槍試合のあるゲーム。誰よりも早く8金出したい。初手3金をとりあえず占い師として、4金を馬上槍試合か香辛料商人かで悩むと、ほかの3人は初手香辛料商人に。果たしてそれはどうなのか。
狩猟団を集めた方が強く、つまり2周目で5-5出した人が偉いゲームであるため、お金が出る方のカードが強い気がする。銅貨圧縮は狩猟団が集まってしまえばそれほど意味がない、とはわかっているものの、気の迷いで自分も(つられて)香辛料商人を買ってしまった。結局全員初手は同じ(前後の違いはあれど)。
ゲーム序盤の展開としては、1番手と自分とで占い師が下位番手の二人に大きく刺さり5金を阻止する形。自分はと言えば狩猟団を集め、しかし途中で狩猟団収集に役立たせられるかと思い豊穣の角笛を入れるも、銅貨圧縮したせいでお金が出ない。そもそもデッキ内のカードの種類を少なくしたい狩猟団と、多くしたい角笛が共存できるわけもない。狩猟団が完全に集まってからならわかるが、そんなことよりも狩猟団の枚数で他者を圧倒し、8金に届かせるべきだった。
結果8金レースは1番手が早く、そのまま郎党やら名馬やらを取られて事実上のゲームセット。素早く2位狙いに切り替えて角笛は5種類で公領獲得と割り切る。24点2位。

4回戦

救貧院(1) 従者(2) 石工(2+) 物置(3) 医者(3+)
収税吏(4) 偽造通貨(5) 伯爵(5) はみだし者(5) 熟練工(5)

3番手。ここまでで大会得点7点。ボーダーは19点なので連勝が条件。
3-4を銀銀とすると、4番手が初手5金で医者から圧縮。そのルートはもう追いつかないと判断し、2周目5金で熟練工を買うバクチ手。ステロの回転力に賭けてみた。その賭けに負けたというお話。2位。熟練工の宣言は毎回ベストだったと思う。最後の「公領」も正解だったが、それでも公領以外のカードが「都合のいい」順番で並んではいなかった。
ところで1番手の方がスーパー長考マンで、ゲーム開始からしばらくピクリともせず何も言わず、時間だけが過ぎていく。第2ターンもまったく同じだったのでさすがに注意した。

5回戦

技術者(4d) 騎士見習い(2) 法貨(2) パトリキ(2)/エンポリウム(5) 隊商の護衛(3)
複製(4) 生贄(4) 神殿(4) ワイルドハント(5) 雇人(6)
相続(7) 宮殿

同卓者全員が準決勝に進む目がないという卓。相続が見えたのでパーティーゲームだと騒いでしまった(すいません)。
かなりやる気がなく、結果としては4位を取ったことで総合順位を大きく下げた。まともにやったらチャンピオンを貼ってからのワイルドハント乱れ打ちでのトークン改修ルートが見えただろうか。そのワイルドハントを買い占めるための複製が見えただろうか。
buyの増えないゲームだからと圧縮しつつ騎士見習いを育てるルートを見たが、ウォーリアーが廃棄されたので諦め。早めに技術者を入れておけば欲しいときに神殿が取れただろう。いずれにせよ何も見えていなかった。


というわけで2-3-2-2-4の大会得点10点で31位という結果でした。さすがに目がなくなったとはいえ5回戦の適当なゲーム運びとマナーの悪さは反省します。緊張の糸が切れたと言えば言い訳になるでしょうが。


ところで今年は同卓者の方に、何度も「ブログ見てますよ!」と声をかけて頂きました。続けてきたかいがありました。ありがとうございました。また来年よろしくお願いいたします。

ドミニオン日本選手権2018に参加してきました その1

ホビージャパン ゲームフェスティバル2018
http://hobbyjapan.games/fes2018/

毎年お馴染み、大会が終わって1週間以上が過ぎてからのレポです。
既にいろんな方が書かれているのでそれらをたっぷり楽しんだあと、さて書くかなという感じで更新しております。


思えば日本選手権はこれで8回目の参加。何度参加しても慣れないなーとか、毎年午後の部に出るのに午前から観戦しているとだんだん不安になってきて早く楽になりたいと思うようになるなーとか思っていたんですが、今年はなぜかかなり落ち着いてプレイすることができました。年の功でしょうか。


1回戦:

堀(2) パトリキ(2)/エンポリウム(5) 陣地(2)/鹵獲品(5) 工房(3) 金貸し(4)
改築(4) 祝祭(5) 軍団兵(5) ワイルドハント(5) 公共広場(5)

いきなりの4番手。2-5スタート。
この前週の東ドミで同じように改築で陣地を集めて勝ったゲームがあり、その印象から陣地-改築で入る。
2番手の方は5-2を軍団兵-パトリキとしたところ、2周目にその軍団兵で金貨が買え、3周目にそれらが揃う。7〜8金を出しつつ公共広場+陣地と買うのでどんどん安定していく。まずい。俺もああすりゃ良かった。
こちらは2周目に改築で屋敷→金貸しとしつつ陣地を集めるが、当然陣地は打てばデッキから離れ、そして軍団兵のアタックを受けた後の改築は弱すぎる。鹵獲品は2枚確保できても陣地が回らない。
明らかに1位は軍団兵を毎ターン打てる2番手であることがはっきりしたゲームを、祝祭やらワイルドハントやらを入れる迷走をしつつ時間いっぱい。手札に改築とワイルドハントがあり、財宝カードは銅貨1枚。サプライのワイルドハントの上にトークンは2枚。さて改築でワイルドハントを公領にすべきか、あるいは屋敷と2点を取りに行くべきかと迷っているとゲーム終了のアナウンス。そしてどちらも同じ3点だと気付く。頭が回っていない。
結果属州2公領1屋敷3とトークン10VPをあわせて28点で2位。3位は27点。

2回戦:

大君主(8d) 礼拝堂(2) 村(3) 農家の市場(3) 戦車競走(3)
城(3-10) 鍛冶屋(4) 玉座の間(4) 研究所(5) 元手(5) 
徴税(2)

2番手3-4。初手は礼拝堂-大君主とする。どちらも1番手が先に買ってくれたお陰で余計な負債トークンを取らずにすんだ。
他のプレイヤーも礼拝堂から入るも、圧縮の速度は自分が一番。玉座の間を入れて玉座+農家の市場をしつつ、あれこれ城ルート行けるのでは?と思い立ち粗末な城(3)2枚取り。事前の練習会ではあれほど「40分で王城(10)買えないから城ルートは行かないように!」と固く誓ったにもかかわらず、である。
するとこれが目立つのか、3番手が徴税で城の上に負債トークン2枚を置く(ドミニオンで個人攻撃!)。余った2金を無駄にしたくないらしく、いったんは2金をパスとしながら(礼拝堂打ったターン)、いやすいませんやっぱり徴税買いますと。
その後崩れた城(4)、小さな城(5)を買うと、上家が11金2buyでもう1枚の小さな城と幽霊城(6)をカット。あっちからもこっちからも攻撃される。
その後は小さな城で崩れた城を廃棄して華やかな城(7)を獲得したところで、またも上家に15金2buyでもう1枚の華やかな城と広大な城(8)をカットされる。こちらは小さな城を爆破して壮大な城(9)を獲得。
そして王城が見えたところで残り時間も少なくなり、さらに下家が徴税で城に負債を置く。なんだろう俺嫌われてるのかしら。それでも手札の玉座の間+大君主(農家の市場で2+3金)と財宝カード5金で10金を出し、王城を買ったあたりでゲーム終了。
属州1+粗末な城×2(5点×2)+華やかな城(3点)+壮大な城(5点)+王城(10点)+4VPで38点1位。もしあの王城が買えていなければ粗末な城の価値も1点ずつ下がるので、つまり12点の損。26点なら4位だった。

3回戦:

市街(8d) 地下墓所(2) 開拓者(2)/騒がしい村(5) 投石器(3)/石(4)
役人(4) 神殿(4) 研究所(5) 市場(5) 資料庫(5) 
墓標

ランドマークを見るに神殿を入れなければならないと思うものの、さてその後はどうすべきなのかがわからない。投石器ロックを完成させるべきなのか。投石器の"弾"の補充に役人を入れるべきなのか。
いずれにせよ資料庫は強いと思うので銀貨-神殿から5金を出して資料庫集め。そして役人を入れて金量を補充する。神殿で銅貨廃棄しすぎるとお金が出ないので。
結果資料庫4枚体制にしたものの、ソピアネントさんが完全な投石器ロックを完成させて呪いを配る展開に。大きな1位を取られるも、こちらも資料庫のおかげで回るデッキから打つ神殿の点数を稼げて、属州3呪い6とVPトークン20点で計32点2位。

4回戦:

剣闘士(3)/大金(8+8d) 民兵(4) 庭園(4) 生贄(4) ヴィラ(4)
鉱山(5) 魔女(5) 書庫(5) 庭師(5) 冠(5)
寄付(8d) 博物館

大会得点12点持ち。ボーダーは13点くらいなので4位だけは回避したい、という立場の人たちだけが集まる卓。そりゃ同意の上でごにょごにょもしたくなる気持ちもわかる。
さて手番を決めると、引いてはいけない呪い(=4番手)を引く。そして寄付場。サプライに民兵。血の気が引く。
ところが1番手と2番手がともに初手魔女。呪い10枚を受けるのだが、さて寄付何回分で対処するべきか。さすがに4回寄付を買ってしまうと間に合わないだろう。
そして3番手は初手民兵。つまりこれからずっと手札3枚でゲームを進める必要があるということだ。手札3枚でできることは何か?
考えて、ここは剣闘士だろうと思いつく。初手銀貨-剣闘士として、第3ターンに寄付を買って初期デッキ10枚を廃棄。当然見せるのは銀貨だが、下家である1番手が銀貨を入れるのはいつになるか?
2金で買うものがないこのゲーム、1番手の第2ターンはおおよそ寄付購入だろう。何枚の銅貨を残すかはわからないが、2番手も同じく魔女を買ったのを見ている以上、銅貨5はあり得ないだろう。では銅貨4か。4だと仮定して、第2ターン寄付購入で6負債、第3ターンに4負債を返済、第4ターンも返済して何も買わないはず。もし銅貨3だったとしても同じく完済には第4ターンまでかかるはずだ。ならば銀貨を買えるのは第5ターン、手札にあるのは早くて第6ターンだ。
ではこちらはどうなるか。銀貨-剣闘士-寄付ときて、第4ターンは剣闘士の3金と銀貨で5金出せる。ここで完済できれば第5ターンに冠を入れられる。冠+剣闘士+銀貨で最低6金、最高8金。もし6金なら金貨を入れて、剣闘士+冠+金貨で8金出せる体制ができる。あるいは冠+剣闘士+銀貨で8金出せれば、ここで剣闘士が3金を出すのは4回目(第3・第4・第5×2)なのでサプライの剣闘士4枚は廃棄され、大金が買える。あとはヴィラだの書庫だので引き切ればよし。
というプランで銀貨-剣闘士から入り、狙い通り冠を買う。そして第6ターンを迎えるものの、しかしここまでで魔女は計5回打たれており、うち第3ターンの寄付で2枚を廃棄しているためデッキ内の呪いは3枚。つまり銀貨1剣闘士1冠1呪い3。6枚ならばシャッフルする必要がある。そこから5枚引いて必要な3枚が引ければ大金が買える…がダメっ…!あろうことか剣闘士が底に沈む。4金で2回目の寄付を買うことに。4負債。
ということはここからその4負債を返すターンを挟む必要があるため、大金を買うのが2ターン遅れるということ。上家のヴィラ書庫検討が先に回り、大きく後れを取る。
大金を入れ、ヴィラ書庫も入れてデッキが完成したころには終盤。慌てて22金3buyから属州属州寄付(呪い3枚廃棄)をし、次のターンに属州1枚を買ったところで、属州3と博物館(8種16点)で34点3位に。
なお実際にはボーダーは11.5だったため、ゲーム開始前に12点持っているこの卓はどうやら消化試合だったもよう。

というわけで今年はかなり余裕をもって予選通過となりました。去年から帝国を練習したかいがありました(!)

では本戦のレポも、またいずれ。

ドミニオン日本選手権2018に向けて その2 間違いやすい処理について

多忙により簡易更新。

大会はいろんな人が参加されるので、何が起こるかわかりません。できるだけルールの認識の齟齬はない方向で。

以下、帝国のルールで間違いやすいと思われる点について列挙です。

神殿(4)を獲得すると、サプライの神殿の山の上に乗ったVPトークンもすべて取ることができます。しかしこのような処理ができるのは神殿だけであり、農家の市場(3)やワイルドハント(5)、汚された神殿があるときの各アクションカードについてはそのカードを獲得してもトークンを取ることはできません。ご注意を。

発売時に一部で話題になった果樹園のテキストですが、別に誤訳というわけではないと思われます。


原文:

When scoring, 4 VP per differently named Action card you have 3 or more copies of.

日本語版:

得点計算するときに、3枚以上持っている異なる名前のアクションカード1枚につき4勝利点。

この訳で、例えば鍛冶屋を4枚持っていれば16点になるのか、という誤解が発生しかねないということですが、一応「異なる名前の〜」という但し書きがある以上そうはならないことがわかります。
つまり、鍛冶屋4枚、村3枚、地下貯蔵庫2枚、書庫1枚なら、鍛冶屋と村が「3枚以上持っている」という条件を満たすため、その対象である「異なる名前のアクションカード」は鍛冶屋と村の2枚となり、8点を得ることになります。

ランドマークに峠があるゲームで、誰かが属州を獲得したのに「競り」を開始するのを忘れてしまったという経験があります。忘れないためには、そのランドマークである峠のカードをサプライの属州の山の上に置いておくのがいいんじゃないでしょうか。
同じく、オベリスクは対象のアクションカードの山の下に差し込んでおくことで示したり、水道橋や戦場は勝利点カードの山のそばに置いておくことでトークンの取り忘れを防いだりと、ランドマークの位置でミスを防ぐのがいいと思います。

砦のあるゲームで、ゲーム終了後に各財宝カードごとに「最も多く持つプレイヤーが5点」を得るわけですが、これをそれぞれが勝手にやるとわけがわからなくなってしまいます。誰かが音頭を取って、「はいじゃあまずは銅貨から、何枚ありますかー?」などと仕切るのがいいと思います。そしてそれぞれ財宝カードごとに最も多く持つプレイヤーには5点のトークンを配るとわかりやすいでしょう。

これまでドミニオンにおいて減点を示すものは呪いだけでしたが、帝国には山賊の砦・狼の巣・壁というランドマークがあります。呪いでもそうですが、ゲーム終了後にそうした減点となるカードはすべて公開する必要があるため、点数に関係あるカードを公開し、計何点かを宣言した後、それ以外のカードもすべて公開することで不正のないことを示すべきでしょう。

女魔術師(3)はその効果が遅れて発生することもあり、本来は「+1カード・+1アクション」になるはずのアクションカードのプレイ時についいつものように処理してしまうというミスが頻繁に発生します。もちろんそれぞれ自分でも気を付けるべきですが、できれば女魔術師を持続させているプレイヤーが「女魔術師あります」などと一声かけてあげるとスムーズに進行できるでしょう。

そして前回の更新でも書きましたが、今回は日本選手権でも初めてとなる「トークンを使った予選」となります。とにかくトークンはそれが誰の所有するものなのかわかりやすく、不正や疑いのないように処理して欲しいと思います。誰も見ていないときに勝手に両替しないこと。両替するならきちんと5枚あることを全員に示すこと。また負債トークンを持っての購入については互いに注意しあいましょう。


いずれにせよ、ミスしてしまった場合に一番重要なのは、すぐにそれを認めて、一言「すいません」と謝るということでしょう。互いに気持ちよくプレイできるよう努めて頂ければと思います。

ドミニオン日本選手権2018に向けて なあみんなマット使ってみないかい

ドミニオン日本選手権まであと1週間ほどとなりました。

ホビージャパン ゲームフェスティバル2018
http://hobbyjapan.games/fes2018/

毎回新たな拡張が発売されるたびにルールが複雑化しているゲームではあるのですが、今回予選で使われるこの帝国の、そのルールの難解さは群を抜いています。ある行為を行うたびにそれに付随する処理や条件が発生するということが多く(ランドマークのせいでしょうか)、ミスプレイが発生しやすくなっています。果たして各ゲームは40分で終わるのか、正しく裁定できるジャッジの人員を確保できるのか、今から不安です。
自分もまた、結構プレイの回数を重ねている方だとは思うのですが、今でもついうっかり負債トークンを返済しないままカードを買ってしまったり、女魔術師(3)のアタック効果を受けているのにアクションカードの処理を普段通りにしてしまったりというミスがあります。大会という場では特に注意するのはもちろんですが、ぜひとも同卓する他のプレイヤーも互いに注意していただきたいと思います。
このようなミスを防ぐために、何ができるでしょうか。重要なのは、予めいろんなことをなるべくわかりやすくしておくということではないでしょうか。
今回は卓上に「4名それぞれが所有するトークン置き場」と「誰のものでもないトークン置き場(いわゆる"銀行")」、計5か所を必要とするわけですが、マットがないと時に「どこからどこまでが自分のトークンだったかわからなくなる」という事象が発生してしまいます。銀行からトークン取ったつもりが人のものだったとか、うっかりこぼしてジャラっとまき散らしたトークンの持ち主がわからなくなったとか、起こりうるトラブルを考えると恐ろしくなります。
さて、かつて繁栄ではVPトークンを置く個人用マットが6枚も用意されていたはずなのですが、なぜか帝国にはついてこなかったこのマットを使うことを強く推奨します。何も繁栄のものでなくても、なんでもいいので個人のエリアが特定できるよう仕切りがあればいいのです。
ついでに言うなら、4名のマットの位置がテーブルの四隅に散るよりは、常にプレイヤー全員の見えるところに置くとした方がよりフェアにプレーできると思われます。4枚のマットを2×2に並べ(あるいは大き目のマットを十字に仕切り)、テーブル中央に置けばそれだけで4名の個人マットができることになります。ここにVPトークンだけでなく負債トークンも置くことで、誰が「負債を抱えている」のか一目瞭然に。


ゲームが終わり、それぞれのデッキの中の勝利点カードを確認するあの煩雑な時間に、誰かこっそり銀行からトークン盗んでやしないかと疑念を持つことも、マットを中央に置くことでなくなるのではないでしょうか。


ところで。春の陣・秋の陣では明確化されていた、ミスプレイの巻き戻しについてはどこまで認めるべきなんでしょうか。負債トークンを持っている状態でのカードの購入やトークンのもらい忘れなど、ルール上の誤りについては一律巻き戻しを認めてもいいと思いますが、どうでしょうか。それが当該プレイヤーにとって得することでも損することでも。

みんなでドミニオンブログの巻

以前「ドミニオンマニアックス」という例の同人誌に寄稿させていただいた際、ビッグブリッヂについて書いたんですが、これは自分から書きたいと言ったわけでも、普段から得意としていたわけでもなく、単に記事の割り振りとして振られただけのものでした。
しかし書いてみると、文章にまとめなければいけないという作業のせいで自分の中で情報と手順が整理され、結果として「書くことで理解できる」という、よく言われる現象を体験することができたのでした。確か当時「ドミニオン強くなりたかったらドミニオンマニアックス書くといい」とかツイートした気がしますが、あながち冗談でもありません。

・・・という内容のことを先月ツイートし、じゃあもし今、誰かからお題を振られて「書かなきゃいけない」という状況になったらみんな書いてくれるのか、書いたらどうなるのかを実験してみようということになりました。その賛同者は以下の通り。それぞれ時間を割いて書いたいただいた記事をご紹介いたします。


FERRY(@Ferry_z)さん:お題「肉屋で屋敷や避難所を廃棄した時に獲得するカードの判断」

FERRY's game blog
肉屋と言えばコイントークン、Butcherと言えば地獄突き
http://zferry.hatenablog.com/entry/2018/05/25/030358

まずはおなじみのFerryさんによるこちら。
普段から肉屋で屋敷を廃棄したとき、コイントークン1枚を支払って銀貨にするべきか、トークンを温存して銅貨にするべきかがわからないんですよね。
前振りでトークンの価値そのものについて言及していただき、特に以下の部分がトークン戦の本質を言い表している気がします。

6金、7金で属州が買えないところをコイントークンで補填して属州を買えるのがコイントークンの強みなので、最後の属州を取ってゲームが終わらせるタイミングで最低2コイントークン持っていたいところです(5金なら公領買えばいいですしね)。

そうした、コイントークンを残すことの意味を前段に置いたうえで、さてでは序盤から何枚のトークンを残すべきかと話を持っていくあたり、さすがです。
そして中段からはFerryさんのブログでお馴染み、一覧表の登場。戦術の比較を行う際のわかりやすい指標を挙げて頂けるので大変ありがたいです。しかし最終的な結論は棚上げされ、判断は読者に任されました。さすがにこのお題で結論まで求めるのは贅沢すぎですが、できればFerryさんご本人は普段どう考えられているのかな、ということが知りたかったです。

ゆぅくりっど(@akatanana)さん:お題「家臣」

慶ドミのぼっちでもドミニオン
家臣を過信するな ?ヒロタシさん突発企画?
http://akatanana-818ubugqm.hatenablog.com/entry/2018/05/22/171532

続いては慶ドミからの刺客、ゆぅくりっどさんによる家臣のエントリです。基本2ndから登場したこのカード、3コストで2金出すだけなら銀貨と同じですが、めくったカードがアクションならそれもプレイできる、と聞くと伝令官(4)のようで、しかしめくったカードがターミナルアクションならそこで終わりに。
このカードの使い道がよくわからなかったので振ってみたのですが、やはり有用な使い道を探すのは難しかったのかな・・・と。大変に苦労されて使い道をひねり出されたような。しかし家臣そのものに+1アクショントークンを乗せる発想はありませんでした。確かに買い占めればちょっとした秘術師(5)のようですね。

チャーシュー(@cha_shu46)さん:お題「召喚」

楽しみ備忘録
《召喚》について
http://createofstudio.blog.fc2.com/blog-entry-130.html

チャーシューさんにはプロモイベントカードの使い道について教えていただこうと思ったのですが、はい、確かに多くは自分で書いてましたね。。
しかし書いたのは2年以上も前の話。あれからの間に見つかった新たな使い道は?と思ったら、まずは自分のミスが発覚してしまいました。仰る通り、死の荷車(4)ではLose Trackが発生してしまいますね。
そのほかにも自分で気づかなったルール裁定について書いていただき、さあいよいよ召喚の新たな使い道は・・・と見てみると、なるほどShepherd(4)にSecret Cave(3)!

《羊飼い》で6ドロー確定つっっっっっっっっっよ!!!《秘密の洞穴》で屋敷3枚捨てて3金&次ターン7金確定今すぐ相続するんだ!

Shepherd(羊飼い)では屋敷3枚捨てて6ドローすると銅貨4・Pasture1・屋敷3の8枚から6ドローするため、10/28=35.7%で5金、15/28=53.6%で6金、3/28=10.7%で7金が、あるいは屋敷3枚とPastureを捨てて8ドローすれば2/3で6金、1/3で7金出ます。第2ターンで7金出し、鍛造(7)や相続(7)でも買えようもんなら勝負ありでしょう。

hikki(@taking0000)さん:お題「騎士見習いルートについて」

香具師は神だと布教するブログ
君も勇者になろう!!!
http://hikki-domi.hatenablog.com/entry/2018/05/29/215413

hikkiさんに振ったお題は冒険のメインとも言える、出世魚カードのひとつ、騎士見習い(2)とその出世ルート。
二人戦ではほぼ取らなくてはいけないというのも、一度はウォリアー(4)ロックを食らったことがあれば理解できるでしょう。そしてその育てる速度の重要性について。

Auto(@AuToPP)さん:お題「村がないけど玉座はある時のコンボについて」

autopp.md
村がないけど玉座はある時のコンボについて
http://autopp.hatenablog.com/entry/2018/05/30/130421

難しそうだけどこの人なら書けるだろうな、と思い切って振ってみたお題はAutoさんに。そう、玉座を村にするというのは二つの意味があるんですよね。振った後に気づきましたが、その二つとも冒頭でフォローしていただきました。
そして注目の玉座玉座の重ね掛けについて、動くよう手札で揃う確率を、それぞれのパーツ枚数をパラメータとした表を展開しての考察。玉座は何枚くらい入れるとバランスがいいのかという疑問に一つの回答を提示しています。さすが。

ねいぴあ(@nepier2784)さん:お題「工匠」

ねいぴあの雑記帳
ドミニオン今日の一枚 ?工匠?
http://napier2784.hatenablog.com/entry/2018/05/26/181737

どう扱っていいのかわからないけど、うまく回れば強いらしいカードの筆頭、工匠(5)についてはねいぴあさんに振ってみましたが、これこれ。こういうのが読みたかったんです。冒頭から工匠が強くなる・弱くなる場について挙げ、そこから工匠ならではの戦術(こちらへのリンクありがとうございます)。さらに類似カードである物置(3)からの新たなコンボの発想と、非の打ちどころがありません。
カードの働きについて考える時、戦術やコンボを丸暗記するのではなく、その性質を理解することで、既に存在するカードや今後登場する新カードにおいてもその考え方を流用できるようになります。本記事はその考え方を導くような内容となっていて素晴らしいと思います。非常に勉強になりました。

ヒロキ(@hottiiii)さん:お題「変容」

ゆる〜く楽しくドミニオン
変容の危険性
http://d.hatena.ne.jp/hrkdomi/20180522/1526993801

ヒロキさんには変容(4)について、大きく2点でまとめて頂きました。
1点目については全面的に同意。3ターン目に打てば強いのはもちろんなんですが、4ターン目以降に来たらもう終わり、なんてゲーム展開を考えているなら買うべきじゃないんですよね。単純に「3ターン目に打ち、4ターン目に屋敷→銀貨で6金出す」だけを目的に買うのは避けた方がいい気がします。
そして2点目は、さすが多人数戦を得意としているプレイヤーの視点だなという印象です。

・他の人が各自保有する変容枚数やVPから考えて、結託終了が起きそうなのはどこか。

「結託終了」という言葉が出てくるあたり、試合巧者ならでは。

ふぁんた(@phanta_stick)さん:お題「6金以上で名品買うか金貨買うか問題」

ふぁんたのブロマガ
ドミニオン企画】金貨 or 名品?【ちょっとした考察】
http://ch.nicovideo.jp/phanta/blomaga/ar1544649

お題は思い切って財宝カードの増加による金量の問題。書いていただいたのはそれぞれのケースにおけるデッキ内金量の変化について、なんですが、知りたかったのはどのような場合に金貨を、どういう場合に名品(3+)を買うべきなのか、その判断基準についてだったんですが・・・お題の振り方が無責任すぎたと思います。失礼しました。
よく「名品ばかり買っていると7金病になる」などと言われますが、銅貨相当の名品と数枚の銀貨、そこに勝利点カードを買っていくと、デッキが尖らないんですよね。本記事前半の内容は金貨購入した方が尖るという内容なのかな、とも思えるのですが、しかし名品の方が最大金量は上。ううむ。

いの.dom(@IN0_dom)さん:お題「戦場場での公領購入判断」

とあるEngineer(4負債)のDevelop(3金)日記
公領は大切。そこがたとえ戦場であろうとも。
http://xxi-noxx.hateblo.jp/entry/2018/05/23/135336

参加表明して後悔したと言われてしまったこのお題、申し訳ないです。でも知りたいですよね。5点の価値の公領は最初から買ってもいいのかどうか。
主に二人戦に限定して考察していただきましたが、「属2公2戦場4での26点は、属4戦場2の28点に勝てない」というのは戦場場(せんじょうば)でのひとつの基準となるのではないでしょうか。
ところで振り忘れたんですが、この途中で戦場にトークンがあるとき、2金で屋敷は買うべきなんでしょうか・・・?